遺伝子×環境~大人は母性の代弁者~ 講演会に参加して

遺伝子×環境~大人は母性の代弁者~
講演会に参加して

公開日:2020/04/21

作成者:えりひょん

人の話を聞くことが好きな私は、比較的「講演会」という類のものには参加しているほうだと思います。
子どもが生まれてからは、幼稚園からお声がけいただいたり、ぼっくるん隊を通じて情報を得たりし、年に数回は子育て関連の専門家の方々のお話を聞く機会があります。
2019年は「子育て関係の講演会」に4回参加しました。

その4回のなかでも(いえ、今まで参加したなかでも)一番感銘を受けたのが今回参加した「草加市男女共同参画フォーラム2019『遺伝の力と環境の力「母性と父性が織りなす育児環境」』です。
こちらの講演は、小児科医である高橋孝雄先生によるもので、恥ずかしながら「男女共同参画フォーラム」を通じて初めて先生と、昨年発売された先生の著書のことを知りました。

講演会終了後は、スムーズに行かなかった朝の準備に、雨の中チャキチャキ歩かない子どもたちに、いら立ちを覚えながら足を運んで本当に良かったと、心の底から思いました。

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個性を生み出す遺伝子

子育てをしていると、育児書に書かれている平均からちょっとずれていると感じたり、周りと比べて一喜一憂したり…ということはあるあるではないでしょうか。

我が家の長男は個性的なので、私も幼稚園入園当初から、平均からちょっとずれているかもと悩み、周りとくらべて落ち込む、そんなことばかりでした。

だからこそ
「正常なものには必ずばらつき(個性)がある」
講演会冒頭の、先生のこの言葉に「個性があって当たり前」と救われた想いでいっぱいでした。

「みんなが同じ」のほうがおかしい。全員がテストで100点を取ったら、確かにそこには何か人為的な力が加わったと思います。
そういわれると、「個性があって当たり前」という言葉がよりしっくりきました。

個性を生み出す遺伝子は、しっかりと強くしなやかに、子どもたちを守ってくれていることが、先生のお話を通じてよく理解できました。

子どものことを考えるからこそ、「あのときああしていればよかった」と後悔することや「今こうしておかないとだめなんじゃないか」と先回りしすぎてしまうことが多々あると思います。でも遺伝子はちゃんと機能して、子どもの成長を促してくれているようです。

必要以上に自分を責めたり、手をかけすぎたりしなくてもちゃんと遺伝子に守られた子どもたちは成長するんですね。

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遺伝子に働きかける環境

一方で、環境は常に遺伝子に働きかけているそうです。
遺伝子で「苦手」と決められていることでも、努力をすることで成長することができる、というお話でした。

そして「実体験」の大切さもお話しされていました。実体験を積むことで子どもたちのなかに「情報が蓄積」されるからです。情報(実体験に基づいた判断や問題解決、感じたことなど)が自分の中にしっかり組み込まれることで、未知の問題と遭遇したときも「想像力」が働き、解決することができるようになるとのこと。

遺伝子で決められているからいいや!ではなく、子どもが育っていく過程では「環境」も大切なんですね。
そしてのその環境はバーチャルではなく、子どもが実体験を積めることが大切なんだと、納得しました。

 

すべての大人は母性の代弁者

先生は、医師に必要なことは「共感力(傾聴し、相手の困りごとを引き出す力)そして患者さんを説得する力」だと話されていました。

私も自身の体験から、その通りだと感じました。
今どんな症状があってどんな風に困っているのか、しっかり耳を傾けてくれる先生の診断や治療には安心できますし、受け入れられます。
適当に話を聞いているなと思うと、本当にその治療法でいいのか?と疑問に思ってしまいます。

子どもとの関わりも同じだと先生は語られました。

子どもに共感し、相手の気持ちを引き出す。すべての大人は母性の代弁者になるべき。子どもの話をしっかり聞き、共感し、子どもの気持ちを引き出して、そして子どもを説得することが大切である、と。

多種多様な価値観がある昨今、さらに子どもにも子どもの人格がある、それなのに子どもを説得する(親の考えに従わせる)ことは親のエゴなのではないか?押しつけなのではないか?と私は常日頃思っていました。

でも、子どもの立場でちゃんと話を聞くことができていれば、自信をもって押し付けていい、と先生は答えてくださいました。
子どもは圧倒的に経験値が少ないし、子どもがいつも正しいとは限らない。だから押し付けていい。でも大前提は共感力。

目から鱗でした!とことん話し合い、子どもの気持ちを聞き受け入れ、共感していれば、医者と患者のようにスムーズに受け入れられるのかもしれないと思いました。

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我が子を信じる

両親から引き継いだ遺伝子が守ってくれている。大きな揺らがない幹です。

遺伝子を子に受け継いだ親が、子育てでさらにやるべきことは、その遺伝子の力を信じて、子どもの話をしっかり聞いて、気持ちや考えを引き出すこと、共感すること。そこに尽きると思いました。

それが難しいんですけどね。

そう思った方は、ぜひ、先生の著書も読んでみてください。
私は、堅苦しく考えなくてもいい、そのままでいい、と言われている気持ちになりました。

自分自身と夫の遺伝子、そして子ども自身のことを信じて、子育てを楽しんでいきたいと思います。

高橋孝雄氏著書写真(7万部帯)

 

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同行者感想(こむすび)↓

自分の子育てと我が子を、改めて見つめなおす機会となった講演会でした。記事にもありますが、「平均」についての考え方が印象的で、「平均=正しい という意味ではない」という言葉に、肩の荷が軽くなるようでした。

私自身、育児では余裕がなくなり、つい息子にきつく当たってしまうことがあります。「子どもは本能的に親のこと信じています、だから子どもを裏切ってはいけない」というお話があり、今までの自分の態度を想い返した後、息子の笑顔が浮かんできて涙が止まりませんでした。

当日は託児の無料サービスもあり、身一つで講演会に参加すること自体が新鮮でした。子育て世代を中心に多くの参加者が集まり、熱心にメモを取りながら聞く人も多く見受けられ、講演会のテーマに対する関心の高さを感じました。

 

草加市男女共同参画フォーラムについて

今回の講演会は、草加市(人権共生課)とみんなのまち草の根ネットの会が共同で主催しています。

そもそも男女共同参画ってどういうこと?と思われる方もいらっしゃると思います。
With you さいたま(埼玉県男女共同参画推進センター)のHP内の「男女共同参画とは」のページにわかりやすくまとめられていますので、そちらをご参照いただけたらと思います。

20181119_103403また、草加市内の男女共同参画の取り組みを紹介するために、講演会の一週間ほど前から当日まで文化会館のフリースペースにおいて男女共同参画に関係する市民活動団体のパネル掲示をしています。
ぼっくるん隊にもお声かけいただき、今回も参加させていただきました。
男女共同参画の取り組みのひとつとしてぼっくるん隊の活動を取り上げていただけたことで、多くの方に男女共同参画について身近に感じていただけたらいいなぁと思います。

 

講演会参加日:2019/11/23

作成者:えりひょん